『こなきじじい』知ってますか?
ゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪です。
そう、この人。このおじいちゃん。
鬼太郎の仲間だから悪い妖怪じゃないんだよね。
このおじいちゃんの必殺技は敵に抱きつくこと。
相手におぶさってオギャーオギャ―って泣くと、だんだん重くなり、
なんとその重量は2トンにもなるという。その重さで敵を押しつぶす。
で、まあ何が言いたいかというと、
おぶさっていたんだよね。こなきじじいが、
私の背中に。
思えば、私がこの世界に出現したと同時に、こなきじじいは私の背中にくっついていたんだと思う。
私が成長するにつれて、こなきじじいも段々重さを増してきた。
私は、こなきじじいがおぶさっているなんて思いもしなかったので、
どうしてこんなにしんどいんだろ。なんで年々しんどくなってくるんだろうって思っていた。
体は重くて軽やかに動けない。腰は痛いし肩も凝る。頭もぼーっとする。
なんで? どうして?
他のみんなは私より軽やかに生きているように見える。
あ~、しんどい。もうやだな~って何十年も思っていた。
と、ところがなんと、三年ほど前から急に体が軽くなり始めたんだよね。
あれ? なんか…軽い?
今まで経験したことのないような感覚。
頭の中のもやもやも取れてすっきりとした感覚。
肩も凝らなくなった。
最近では、もっと軽くなった。どんどん軽くなる。
いなくなった?
こなきじじい。
もう私におんぶしていない?
あ~、やっと私から離れてくれたんだ。
そのとき、私にとってのこなきじじいの正体がはっきりと分かった。
三年前、私の母親が亡くなった。
そっか~、そうだったんだ。
この話、わかる人にしか実感としてはわからないよね。
でもとにかく今はもう、こなきじじいはいなくなった。
もうちょっと早くいなくなってくれたらなって思うけど、
でも、いなくなったのだからもういいや。
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